お菓子作りに欠かせない砂糖。
最近は、低糖質やオーガニックがブームで、白砂糖は悪者!とイメージがありますが、
砂糖は甘さを与えるだけでなく、様々な役割があります。
この記事では、お菓子作りにおける砂糖の役割8個を解説します。
初心者の方にありがちな、砂糖を半分に減らしたら膨らみませんでした。という「なぜ?」の理由が、これを読めばわかるようになります。
この記事を書いた人
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プロが教える本格お菓子教室「シュクルエピス」主宰。
東京都北区の自宅工房でお菓子教室とお菓子の販売をしています。
「日常にスイーツとちょっとしたスパイスを」をコンセプトに、美味しさと完成度にこだわったお菓子をお届けしています。
砂糖の性質8個
1.水に溶けやすい(親水性)
砂糖は水に溶けやすく、常温の水100mlで約200gの砂糖が、100度の水100mlには500gの砂糖が溶けます。砂糖は水を引き付ける力が非常に強く、「親水性」と言います。この性質が2~5番にも影響しています。
2.保水力があり、しっとりさせる
砂糖は水を吸着しやすく(吸水性)、吸着した水分を保持する「保水性」があり、砂糖を入れることにより、生地に水分が保たれてしっとりとお菓子を軟かくします。また、ゼリーに砂糖が多く含まれているほど、砂糖が水分を保持して離水しにくくなります。
3.デンプンの老化を抑制する
スポンジ生地は砂糖が多いほど、デンプン分子の間に水を保持できるので、デンプンの老化が起こりにくくなり、日にちがたっても硬くなりにくくなります。
例えばショートケーキは、冷蔵庫で保存するので、よりデンプンが老化しやすく、このデンプン老化抑制効果が大事です。
4.水分を奪う脱水性と防腐性
ジャムを作る時、果物に砂糖をかけてしばらく置くと水が出てくるのは、砂糖が果物の水分をどんどん奪い、脱水させるからです。
食品中の水分には、しっかり結合したままとどまる結合水と、自由に動ける自由水があります。この自由水が多いと微生物が繁殖して食品を腐らせますが、砂糖の保水力により、自由水を結合水に変えて、食品が腐りづらくなります。
5. 気泡を安定させる
砂糖が卵白の水分を吸収して気泡がきめ細かく安定し、気泡が壊れにくくなります。メレンゲの泡立ちが良くなります。一方で砂糖を入れすぎると、卵のタンパク質の空気変性を抑える働きもあるので、泡立ちにくくもなり、砂糖を数回に分けて入れるのはそのためです。
6.タンパク質の凝固をやわらげる
プリンを作る際、砂糖を加えるとタンパク質の熱変性を抑えるので、砂糖を増やすほど凝固温度が高くなり、柔らかく固まります。
7.結晶性(フォンダン)、ガラス化(キャンディ)
砂糖の水溶液(シロップ)の状態から温度が下がって、過飽和状態になると結晶が出てきてくる現象を「再結晶」といいます。この結晶を核に、激しく攪拌するとフォンダンになります。(エクレアの上掛け)
シロップをもっと煮詰めて、低水分の状態から一気に冷やすとキャンディができます。強固なガラス状態になることを「ガラス化」といいます。
8. 着色性
①メイラード反応
たんぱく質、アミノ酸と糖を一緒に加熱することによって、美味しそうな茶色い焼き色と、香ばしい香りがつきます。これを「メイラード反応」といいます。
②カラメル反応
カラメルソースを作る時、砂糖が溶けて、160度を超えるとっ茶色く色づきます。プリンのカラメルソースや、カラメルムースを作るときに役立ちます。
まとめ
冒頭にも書きましたが、砂糖は甘みをつけるだけでなく、様々な役割があり、他の素材の働きを助けたり、最終製品のお菓子の美味しさや、日持ちに大きく影響します。
例えば砂糖は、スポンジケーキをふわふわにして水分を保持したり、プリンを柔らかくして滑らかさを保ったり、ジャムを腐りづらくします。
他にも砂糖には、水とともに煮詰めていくと、性状が変化するという特徴があります。高温まで煮詰めてキャンディや飴細工、キャラメルができます。また砂糖の再結晶の性質を生かして、フォンダンや、ウイスキーボンボンができます。
砂糖の性質を理解することによって、お菓子作りをコントロールするのが上手になります。やみくもに半分くらい砂糖を減らしてしまうと、ぱさぱさになったり、日持ちがしなくなり失敗の原因になります。
減らすとしても、10~15%ほどで試してみてください。
砂糖を上手に利用して、お菓子作りに生かしてくださいね!
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プロが教える本格お菓子教室「シュクルエピス」主宰。
東京都北区の自宅工房でお菓子教室とお菓子の販売をしています。
「日常にスイーツとちょっとしたスパイスを」をコンセプトに、美味しさと完成度にこだわったお菓子をお届けしています。